夕日をそしって石に敷かれた早乙女
どんな伝承か
韮崎市大草町上条東割の坂下六田というところに、六尺立方ほどの大きな石がある。むかし早乙女たちが田植えの中休みに、このあたりの芝原へ腰を下ろして休んだ。はじめは苗や田植えの話をしていたが、話ははずんで世間話になった。しばらくして一人が休みすぎたことに気づき、山際へ落ちかかった夕日を仰いだ。すると話の音頭を取っていた早乙女が、日がもう山へ入るのかと不平がましく言い放った。その途端、山の上から小屋ほどもある大石がすさまじい音を立てて転げ落ち、口をきいた早乙女をあっという間に敷き伏せてしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。