姉妹を圧した大岩おいしがね
どんな伝承か
都留市の下夏狩には、田のただ中に周囲三十二メートル、高さ五メートルという大岩が据わっている。むかし、ある家におい しとおかねという姉妹がいた。夏のある日、二人がこの田で働いていると、空はにわかにかき曇り、稲光と激しい風雨になった。姉妹が家の方角へ走り出したその時、南の空から一かたまりの黒雲が二人の頭上へのしかかり、田の中へ大岩が落ちてきて、二人はその下敷きになってしまったという。以来この岩は、姉の名をとって「おいしがね」と呼ばれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。