姥捨て山と灰縄の知恵
どんな伝承か
山梨県都留市宝地区に伝わる話によれば、六十歳になると息子が母を背負って姥捨て山へ捨てに行く習わしがあったという。あるとき殿様が息子に「灰で縄をなって来い」という難題を言いつけた。息子が困り果てて姥捨て山に捨てねばならない母に相談すると、母は藁を塩水で湿して固く打ち、それをなって縄にしてから燃やせば、縄の形のまま灰になると教えた。息子がその灰の縄を殿様に届けると、誰に教わったのかと問われ、母に聞いたのだと答えた。これを機に、親というものは尊いものだと知れわたり、姥捨て山に捨てる習わしは廃れたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平栗・加畑の民俗(山梨県都留市宝・民俗調査報告 第11号)(民俗調査報告)
『平栗・加畑の民俗(山梨県都留市宝・民俗調査報告 第11号)』は、山梨県都留市宝の平栗・加畑の民俗調査報告である。口承文芸の章には、話者から聞き取ったかちかち山や姥捨て山などの昔話と、浅間神社の由来、山の神のユミイリとオカンムリヒロイ、天目山の落人、屋号や地名のいわれなどの伝説を収め、概観では加畑一帯で一月十四日の晩に聞こえるという「おのう」を特筆する。話ごとに一覧で分類と話者の名・生年を示し、続けて語り口のまま本文を記す。