虎女とともに育った延台寺の虎御石
どんな伝承か
東海道沿い、大磯の駅に近い延台寺には虎御石が秘蔵されている。昔、大磯の山下長者は四十を過ぎても子に恵まれず、妻が近くの虎池弁財天に願をかけ続けた。ある夜、夢のお告げで目を覚ますと枕もとに美しい小石があったので、弁財天の授かりものとして仏間に供えた。やがて生まれた女児は虎と名づけられ、その成長につれて小石も大きくなり、十八歳のころには菱餅の形をした大石になっていた。長者は生き石として娘の守り本尊にした。曽我十郎と結ばれた虎女を狙い、祐経が長者宅を襲った翌朝、この石には矢が突き刺さって傷が残っていたため、十郎の身代わりの石とも呼ばれるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。