館を築いた百合稚と別府殿屋敷
どんな伝承か
百合稚は、篠原長者の娘である佐用姫と大友狭手彦とのあいだに生まれた。別府に館を築いて一帯を治め、家来の別府太郎らを従えて任那へ出兵した。途中、玄界の小島に立ち寄って眠り込むと、別府太郎は主を残して多久へ帰り、百合稚の妻を娶ってその地を治めるようになる。別府殿屋敷という地名がその跡を伝える。百合稚は五年ののち多久へ帰ったが、不遇のうちに死に、顕証寺に墓があるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。