幕戸ノ辻から射た千東ノ池の大蛇
どんな伝承か
東彼杵郡波佐見町の木原免は黒髪山と向かい合い、その間はおよそ二里あるという。旧記によれば、肥前国の黒髪山に一匹の大蛇がいて人を悩ませ、為朝がこれを射殺したと伝わる。蛇は黒髪山と千東ノ池の間を行き来して池の水を飲んでいたといい、池もまた木原免の地内にあって、幕戸ノ辻から南東へ十町余りの所にあたる。跡はいまも残り、為朝はこの辻で蛇を射たのだと語り伝えられている。『長崎県東彼杵郡誌』が記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。