妄執が猿になった平家百猿
どんな伝承か
玖珠郡九重町の平家山には、多くの落人が住みついたと伝えられる。彼らは都へ帰る望みを果たせず、その妄執がついに猿の姿になったという。享保のころまで、その数は平家百猿と呼ばれるほど多かった。近くの村の作物を荒らすので、ある猟師が二、三年をかけて大小八十七匹を撃ち殺した。そのうちの一匹は朱塗りの鞘の刀を持っており、塗りははげてわずかに朱漆の跡が見えるほどだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。