安徳台と呼ばれる行在所の跡
どんな伝承か
筑紫郡那珂川町の安徳には、安徳台とも御所の岡とも呼ぶ台地がある。中央には老杉が二本そびえ、その根方の小さな祠に安徳天皇を祀って、里人は「天皇様」と呼んでいる。ここは怡土郡の豪族で岩戸城主だった原田種直の居館の跡と伝え、寿永二年八月に都を落ちた平家一門を種直が迎え入れた、つかのまの行在所であった。近くには道成寺や御迎などの地名も残っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。