塩を供えて願をかけた塩上石
どんな伝承か
昔、平戸地方に大渡長者という地頭がいた。もとは軽い商人で、平戸から川内浦にかけて毎日塩を売り歩いていたという。中野村の坂を登って川内峠で休むときは、いつも道ばたの石に塩を供え、はるか向こうの安満岳の白山権現を拝んで、自分は賤しい塩商人だが九十九島の数ほどの大船を持つ大商人にしてほしいと祈願した。やがて彼は大きな航海業者となり、平戸と川内の一円を領するようになった。いま川内峠にある塩上石は、そのとき塩を供えて祈った石だといわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。