しめ縄でつながれた丹川の女夫石
どんな伝承か
大分市の丹生、字丹川の山に不思議な石がある。白い丸石で、誰いうとなく女夫の石と呼ばれてきた。いまは一、二間ほど離れて向かい合っているが、十六、七年前には広い道をはさんで一方から他方の半面が見える程であったという。この石に触れる者はなく、二つのあいだは一本のしめ縄でつながれ、延命寺と呼ぶ所で毎年ささやかな祭が営まれてしめ縄が掛け替えられる。石の間が狭まり一つになれば近郷は海に変わると予言した者があったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。