太吉を偲ぶがあたろ相撲
どんな伝承か
旧大分郡庄内町に伝わる話である。壇ノ浦に沈んだ平家の公達や女官の怨霊は、筑後川の深い淵に入って河童になったという。八坂川にいるのもその河童で、太吉は相撲を取ってふぬけにされてしまった。父の太助は河童に相撲で勝ったものの、息子を助けることはできなかった。ただ、六月の水神祭りの日には河童が水神様のもとへ伺候し、一匹残らず川から居なくなると聞き出した。それ以来、村中がこの日に水浴びを楽しみ、太吉を偲んで川の中洲で「があたろ相撲」を取るようになったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。