三もっこの土で盛られた開聞岳
どんな伝承か
知覧町の上別府にある木佐貫原には、ツンプシボク(ひざの穴の意)と呼ばれるくぼんだ穴が二つある。直径は二〇メートル、二つの距離は五〇〇メートルほどもある。昔、知覧から頴娃にかけてが広い平野であったころ、この地方に大オンジョという巨人が住んでいた。大オンジョはモッコに土を入れて頴娃の海岸まで運び、三かつぎ分を積み重ね、大きな手のひらでなでて形を整えた。こうして出来たのが開聞岳で、美しい裾野はそのためだという。モッコに残った土をこぼしたのが矢筈岳で、こちらはささくれ立った山である。仕事を終えた巨人が後ずさりして木佐貫原でひざまずき、開聞岳を拝んだとき、両ひざの跡がくぼんで二つの穴になったと伝わる。
原典より
<柳田――「大人の足跡」>知覧(ちらん)町の上別府(かみべっぷ)にある木佐貫原(きさぬきばる)は飛行場にも使えるほどの広い広い原ですが、ここにツンプシボク(ひざの穴という意味です)という大きなくぼんだ穴が二つあります。—— 日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。