久玉の大男が履く大草鞋
どんな伝承か
昔、ある国の相撲取りが力試しに天草へ渡ってきた。久玉村で休んでいると、木の枝に大きな草鞋が掛けてあるのが目にとまった。通りかかった村人に誰が履くのかと尋ねると、村の大男が履くものだという。それを聞いた相撲取りは、とても敵うまいと早々に久玉を立ち去った。その草鞋を履くという大男はすばらしい力持ちで、この村の城を造ったときにも、二、三十人がかりでなければ運べない材木をひとりで運んだ。ところが一向にほめられもしないので腹を立て、城の裏山の孟宗藪の大竹を、片端から指先でひねり折ってしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。