片目を打たれた遍路と大根川
どんな伝承か
推古天皇の御代のこと、札之元の女が三納川で大根を洗っていると、遍路が来て一本恵んでほしいと願った。女が投げてよこした大根は、遍路の右の目に当たる。とたんに川の水は引いてしまい、遍路の姿も消えたという。この遍路は村の芳野神社に祀られる守り神、三社大明神の化身であったと伝わる。以来この川は、上流も下流も流れているのに、十月半ばから三月半ばまではこのあたりだけ干上がるようになり、大根川と呼ばれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。