遠島状で追われた七頭の大蛇
どんな伝承か
昔、川上小学校の建つ場所には寺があり、その傍らの小さな池に七頭の大蛇が棲んで人々を苦しめていた。困り果てた寺の住職は大蛇を追い払う遠島状をしたため、仏に一心に祈った。その遠島状を書くとき、十年と記すはずの十の字の上に墨が一滴落ちて、千年と読めてしまったという。七頭の大蛇が寺の下にある川上神社の滝つぼへ入って以来、誰一人としてその滝を振り返る者がなくなったので、そこを見返りの滝と呼ぶようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。