石塘の潮止めに立った庄屋の人柱
どんな伝承か
本田大明神に祀られているのは、人柱となった者の霊だと伝わる。慶長十年、加藤清正が大がかりな干拓に取りかかり、石塘を築いた折のことである。小田牟田では潮を止める工事がどうしても進まず、大園村の庄屋である伝作が、自分が人柱に立とうと名乗り出た。伝作を沈めると、難航していた工事はほどなく仕上がったという。志願する者はほかにも多く、髪を紫の紐で七巻きした者を選ぶと決めると七人が該当し、次に袴へ横布をあてた者と決めると、わざわざ布をあてて人柱を望む者まで出たと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。