潮止めを阻んだ田浦新地の人柱
どんな伝承か
田浦新地は、細川氏が所領を広げるため元禄年間に海を干拓してできた土地である。元禄十一年に工事が始まったものの、最後に潮を止める段になって難航した。人柱を立てるほかないとして八幡宮に願をかけると、縦縞の着物に横縞の継ぎをあてた十九歳の娘を捧げよ、との託宣が下った。探し歩いた末、天草から人夫として来ていたお澤多がその姿に合っていたため、娘は人柱にされた。工事はその後進み、元禄十三年に完成したと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。