洞窟で退治されたバーント
どんな伝承か
来間島にバーントと呼ばれる鬼がいて、島の人が一人ずつ食い殺されていったという。与那覇村の力自慢の三人兄弟が退治しようと島へ渡り、小屋で泣いている老婆に訳を聞くと、今夜は自分の番だと言う。兄弟は物陰に隠れて待ち、真夜中に現れた鬼を力を合わせて投げ伏せ、大木に縛りつけた。翌朝行ってみると木は根こそぎ倒れ、鬼の姿はなく血の跡だけが残っていた。跡をたどって島の東海岸の洞窟へ踏み込み、うめいている鬼を退治する。鬼は全身が黒く、口が耳の下まで裂けていた。以後、島は栄え、祈願の祭ヤーマスプナカが始まったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。