世乃主由緒書が伝える築城と自刃
どんな伝承か
沖永良部島の先主・世之主かなしの由緒を、内城村の平安統が嘉永三年に書き上げた文書である。北山王の二男が沖永良部島を与えられ、玉城村の金の塔に館を構えたこと、大城村の川内の百の進言で後蘭孫八に築城させ三年目に居城が成ったことを記す。奥方は中山王の姫で、宝刀黄美留菜久美は喜美留の漁夫が釣り上げたものだという。馬を取り上げられた国吉里主が中山へ逃れて讒言し、宝刀も盗まれた末、和睦の船を軍船と誤って一族が自害した経緯を伝える。遺児は徳之島へ逃れ、のちに帰島して直城に館を構え、子孫が代々大屋役を勤めたと結ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。