赤子をさらったアマムブックイの穴
どんな伝承か
知名町瀬利覚に伝わる。この洞穴のある畑は、もとは黒貫の人の土地だった。働き者の夫婦が毎日この畑に来ており、ある日、父は芋を植えるために畑を耕し、母は赤ん坊を背負って芋づるを植えていた。日に照らされて汗ばみながら眠る赤ん坊を憐れみ、畑の隅の涼しい所に寝かせた。一時間ほどして赤ん坊が急に大声で泣き出したので母が駆けつけると、化物のような大きなアマムブックイが赤ん坊をさらい、洞穴の奥へ引きずり込んでいくところだった。夫婦は真暗な洞穴に入って泣き声を追ったが、穴は次第に狭まって進めなくなり、声も奥へ遠ざかって聞こえなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。