掘り起こされた経塚の祟り
どんな伝承か
黒岩山に行人岩と呼ばれるところがあり、洞穴には一本刃の足駄をはいた行人が住んでいたと伝えられている。その行人が持っていた経を埋めた経塚が太夫沢の出口にあった。大きさは椀を伏せたような形で、経千巻・黄金千枚・炭千俵・あらぐわ千枚が埋められていたという。洞穴に入ると祟りがあるとおそれられ、ある日、勇気ある若者が中に入ると鍋や椀があったが、それきり行人は姿を現さなかった。経塚は鉱山開発で掘り起こされ、塚の石を庭石に使うと腹痛や頭痛、怪我の祟りがあるといわれた。塚を掘った人夫が亡くなったため、跡に碑を建てて払いをしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。