髑髏の礼が実らせたハナウミーダー
どんな伝承か
喜界町花良治にハナウミーダーと呼ぶ田がある。河野の祖先が夕方に田を見廻って畔に立っていると、イサンニョウから尾を引いた火の玉が近くの森へ飛んで来て、森の中から「今夜海へ行こう」「わたしは目が痛むので行けない」という話し声が聞こえた。翌日その森へ行ってみると、蔓草に巻かれた人の死骸が横たわり、目のところに蔓の根が差し込んでいた。彼が頭蓋骨のまわりの蔓草を刈り取ってきれいにしてやると、以後、田に出るたび「目よう、目よう」という声がした。その秋、上納米の下調べに来た役人は、彼の田だけが青いままなので収穫の見込みなしとして引き揚げた。のち森から「ハナウミ ハナウミ」と声がしたので家族と刈り取ったところ、稲穂は例年より豊かに実っていた。以来この田をハナウミーダーと呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。