たてがみを切られ竜に敗れた馬
どんな伝承か
むかし、竜ヶ馬場に長者が住み、名馬を持っていた。ある日、その馬が身体一杯の汗をかいて帰り、翌日も同じだったので、不思議に思った長者は馬の後をつけた。馬は竜ヶ渕で竜と凄惨な決闘をしており、勝負は五分五分であった。長者はたてがみが邪魔に見え、短く切ってやれば竜に勝てると思って切った。ところが翌日の決闘で馬は竜に負けて死んでしまった。長者は、たてがみこそ馬の偉大な力であったと知り、死を悼んで渕に碑を建てた。これが竜渕記の碑である。碑はのちに三つに割れて川に沈んでいたが、若者が破片を見つけてつなぎ合わせ、傍らに由来記の碑が再建された。
原典より
むかし、竜ヶ馬場に長者が住んでいた。—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。