安産に霊験ある前田沢の子安虚空蔵
どんな伝承か
喜久田町前田沢の福田寺の子安虚空蔵尊は、前田沢の虚空蔵様として広く知られる。千二百年ほど前、聖武天皇の御代に東北を行脚した行基上人が小室山福田寺に杖をとどめ、田畑で働く百姓を見て、農が栄えるには健やかな身体と丈夫な子だと思い至り、子安虚空蔵菩薩を刻んだという。境内の北西に堂を建てて安置し、この地方の百姓の幸せを祈ったと伝わる。祭は旧三月十二日から始まり、参拝者は境内にあふれる。安産と子育ての守り神とされ、柳津と水戸の村松大満に並ぶ三大虚空蔵に数えられて、北は北海道から南は九州まで札を求める便りが絶えないという。安産の守りに添えた布が赤ければ女、白ければ男が生まれ、必ず当たるとも伝わる。
原典より
福田寺の虚空蔵尊は、前田沢の虚空蔵様といって広く知れわたっている。—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。