夜明けに石と化した農牛と牛池
どんな伝承か
茅が岳の麓の村々は水不足に悩み、毎年鳳凰山へ雨乞いに登っていた。山の神はこれを哀れみ、黒毛の農牛と白斑の農鳥に池を掘るよう命じた。二頭は毎晩懸命に掘り、農鳥が夜明けを告げると急いで山へ帰っていたが、ある晩農鳥が時を告げ忘れ、夜が明けてしまった。帰りそびれた農牛は池のほとりで石となり、村人はこれを牛石と呼ぶ。そばには水を満々とたたえた池があり、牛池または柳池という。農鳥は急いで山へ戻り、池掘りはそれきりになった。鳥の小池は深さ十尋ほどの小さな池で、清水が湧いて近くの家の飲み水となり、底には鳥の形の石が沈み、どんな日照りにも涸れないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
韮崎市の民話伝説(韮崎市教育委員会・1967年(昭和42年))
『韮崎市の民話伝説』は、韮崎市教育委員会が昭和四十二年に発行した民話・伝説集である。韮崎・円野・中田・穴山・藤井・神山・穂坂・清哲・旭・大草・竜岡の十一町で民俗資料調査員が集めた百六十八話を収め、武田信玄・勝頼や鎮西八郎為朝、弘法大師の話、山の神のたたりや化かされた話などに話者名や『裏見寒話』などの出典を添える。巻頭に昔話と伝説の解説を置き、本文を木・石・水・塚・坂峠・山・谷沢・屋敷跡城址・祠堂・その他の十部に分ける。