地獄から消息を送る将門と金光明経
どんな伝承か
『将門記』の末尾には、地獄に堕ちた平将門が中有の使いを通じて託した消息が記されている。生前一つの善も行わなかった罪により責め苦を受け続けているが、かつて誓った『金光明経』一部の書写の功徳によって一月に一度だけ苦しみが和らぐという。将門は遺族に、他者に慈しみを施し、生き物を食べず仏僧に施すよう説いたと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。