俵藤太が影武者の秘密を探る将門退治
どんな伝承か
『俵藤太物語』によれば、将門は身長七尺に余り、五体はことごとく鉄で、左の眼に瞳が二つあり、同じ人体の影武者六人を常に身辺に従えていたので、誰も本体を見分けられなかった。秀郷は貞盛と示し合わせて単身相馬の館に赴き、辞を飾って将門に仕え、南の寝殿で寵妃小宰相を見染め、女房時雨の手引きで思いを遂げる。そして小宰相の口から、本体だけは日光や灯火に影を生じること、全身が鉄でもこめかみ一か所だけが生身であることを聞き出し、物陰から将門を射て討ち取った。都へ渡された首は獄門にかけられても眼が枯れず切歯したが、狂歌を詠まれると笑って瞑目したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。