生保内の村祖となった滝夜叉姫の子
どんな伝承か
巻末の附録「将門伝説分布」の秋田県の項に、滝夜叉姫の後裔として仙北郡生保内町が挙げられている。将門滅亡後、その息女滝夜叉姫がこの地に遁れ来り住みついたところと伝え、その五子(または三子)を村祖とするという。本文によれば、長子は中生保内を開いて田口家の先祖となり、次子は国見峠の坂下を開いて坂本姓を名告り、三子は南部に越えて橋場地方を開き、四子は田沢村、五子は潟を開いてそれぞれ村祖となったといわれる。一説では姫の子は三人で、兄は居村の中生保内を開き、次子は角館に出て三星家の祖となり、三子は刈和野に移って開拓したともいう。生保内の町には今も田口姓を名告る家がきわめて多い。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・(平将門伝説の研究書))
梶原正昭・矢代和夫『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』を、論考の節単位で全67事例として収録した研究書(地域伝説集ではない)。平安中期の平将門(承平天慶の乱)をめぐる伝説を、英雄の死と伝説の誕生(冥界・調伏・怨霊・首の怪異・七人の影武者・妙見信仰・石化)、落人たちの運命(将軍太郎良門・如蔵尼の堕地獄と救済・滝夜叉姫・桔梗塚の寵妃・後裔と将門遺跡)、将門伝説の展開(馬の文化・関東一円の分布圏・文芸化・首塚の祟りと再評価)として論じる。