イボが落ちる地蔵の石
どんな伝承か
大磯町虫窪の泣ヶ原には、夫を待ちわびて死んだ若妻をしのんで村人がまつった地蔵があり、その前に十数個の石が積まれている。イボに悩む人がこの石を持ち帰って患部をなでると、イボがぽろりと取れるという信仰がある。土地の古老の二宮秀明さんも、子どものころ手にできたイボを祖母に地蔵の石で数回なでてもらったところ、四、五日で本当に消えたと笑って語る。願いがかなえば石を倍にして返す決まりなので、かつては山のように積まれていたが、借りたまま返さない人が増えてすっかり減ったという。地蔵の前では毎年四月二十四日に祭りがある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。