美女石と姥石
どんな伝承か
金沢の称名寺の本堂前には、梵字の『阿』をかたどった阿字ヶ池がある。その北東の隅に、苔むした細長い石が水面から顔を出しており、姥石と呼ばれる。昔、北条氏の姫君がこの池に落ち、付き添っていた乳母が助けようと飛び込んだが、二人とも溺れて石になってしまったと伝える。姫の化身とされる美女石は姥石より少し背が高く、そばに並んでいたが、取材の十年ほど前に倒れて池の深みへ沈み、寺の人々が探しても見つからなかった。二つの石は、六浦の金竜院の飛び石、琵琶島弁天の福石とともに金沢四石に数えられていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。