王禅寺の柿の木
どんな伝承か
川崎・柿生の真言宗王禅寺の境内には、名産の柿『禅寺丸』の原木と伝わる木がある。室町時代の中ごろ、住職の等海上人が寺の山を歩いていて一本の柿の木を見つけ、赤く熟した実を口にするとたいそう甘かった。上人はその木を境内に移し、種を近くの農民に分けて育てさせた。柿はたちまち一帯に広まり、秋には江戸へ出荷されて農家の大切な収入になったという。もとは王禅寺丸と呼ばれたが、江戸の市場で競り人が間延びした名を嫌い、頭の一字を省いて威勢よく呼んだことから禅寺丸の名になったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。