王禅寺と孝謙天皇の観音像
どんな伝承か
柿の名産地柿生の山あいに建つ真言宗王禅寺は、住職によれば平安時代の延喜十七年の開山で、千年近い歴史を持つ古寺である。一方、新編武蔵風土記稿が載せる伝承では、奈良時代に孝謙天皇が、土の中から掘り出された一体の観音像を納めるため、この地に伽藍を建てたのが寺の始まりとされる。かつての境内は九十九もの谷を抱えるほど広大だったという。寺は今も山と谷に囲まれ、騒がしさから隔てられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。