悪縁を絶つ縁切り榎
どんな伝承か
板橋区仲宿の乗蓮寺から北へ三町ほど行った岩の坂の下り口に、縁切り榎が立つ。根方には第六天の祠があり、男女の悪縁を切りたい者がここで祈り、あるいは樹皮を煎じて飲めば願いは通じるという。嫁入りの行列はその名を嫌って迂回した。樹皮を煎じて酒に混ぜれば酒好きが直るともいう。名の起こりは、富士入定を志した油商の男が、この木の下で妻子に別れを告げた一件だと伝えられる。
原典より
板橋区仲宿の乗蓮寺より北へ約三町(三三〇メートル)ほど行った岩の坂下口に、縁切り榎がある。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。