釈迦が投げた影向寺の影向石と薬師像
どんな伝承か
川崎市野川の影向寺には影向石という大石が据えられている。釈迦が有縁の地にとどまるようにとみずから投げた石が、この地に落ちたと伝えられる。光明皇后が重病にかかったとき、聖武天皇が夢告を受け、武蔵国橘の里の不思議な石のもとに薬師を祀るよう告げられ、行基菩薩が薬師を祀ったのが影向寺の始まりという。さらに慈覚大師が堂を建て京から薬師像を運ばせたが、像は途中で消えて独りでこの石の上に立っていた。のちに寺が焼けた時も、薬師像は難を避けてこの石の上に立っていたという。石のくぼみの水は目の病にきくと伝わる。
原典より
北区滝野川の金剛寺にも、不動の影向石というものがある。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。