藤蔓を恨んだ武士と景信山
どんな伝承か
天正の頃、八王子城が落ちたとき、景信という武士が山中の道を辿って逃れた。ところが今の上恩方町にある山で馬の脚が藤蔓に絡まり、馬もろとも谷底の淵へ落ちて命を失った。景信は藤蔓を深く恨み、この山に藤蔓は生えるなと言い残して息絶えたという。以来この山は景信山と呼ばれ、藤は生えないとされる。景信はこのとき片目を失っていたため、淵に棲むヤマメはみな片目だとも語られている。
原典より
天正(一五七三―九二)の頃、八王子城が落城した時、景信という武士が、山中の道を辿って落ちのびた。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。