鉢形落城の黒馬を飼わない彦久保家
どんな伝承か
秩父市下吉田の彦久保家では、黒い馬を飼わないという。鉢形城が落ちたとき、この家の先祖が黒馬に乗って落ちのびて帰ってきたからだと伝えられる。そのため黒馬はもちろん、黒い毛色の家畜はいっさい飼えないのだという。戦国の落城の記憶が、一家の家畜の禁忌として今に残った話である。原典は埼玉県伝説集成を出典に挙げる一文の条で、先祖の名や落城の年は記していない。
原典より
秩父郡吉田町下吉田の彦久保家では、鉢形落城の際、先祖が黒馬に乗って帰ってきたので、黒馬はもちろん、黒い色の家畜は飼えないという(埼玉県伝説集成)。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。