長坂で化かされ空手綱を曳いた男
どんな伝承か
昔、滑川村上福田の小川谷に住む福田某が、熊谷へ米を売りに行った帰り、油揚げを買って帰路についた。ところが土塩の長坂のあたりで狐に化かされ、夜遅くになってようやく帰ってきた。福田某は馬を曳く格好をして戻ったが、馬の姿はなく、手綱だけを曳いていた。もちろん油揚げもなくなっていた。あとで調べると、馬は長坂のあたりで草を食べていたという。
原典より
昔、小川谷の福田某が熊谷へ米を売っての帰りのことである。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。