柿の葉のお布施で葬儀をした長慶寺の和尚
どんな伝承か
昔、東秩父村白石の長慶寺に徳の高い和尚がいた。村内三か所の葬儀を終えて帰ると、まもなく朝日根の某家から、今晩ぜひ葬式をしてほしい、夜も遅いので駕籠を用意したと使いが来た。和尚は今日は葬儀の多い日だと不審に思いながらも駕籠に乗って出かけ、葬儀を丁重に営んで、また駕籠で送られて帰った。夜が明けてみると法衣は泥に汚れ、破れてもいる。昨夜のお布施を調べると、金と思ったのは柿の葉を藁に刺したものだった。有徳の和尚も、狐に化かされて葬儀をしたと言われるのを気に病み、病気になってしまったという。
原典より
昔、長慶寺に徳の高い和尚がいた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。