琴平神社の天狗と飛んできた大岩
どんな伝承か
秩父の東のはずれ、槻川の坂本にある琴平神社には、古くから天狗が住むといわれた。日が暮れると近くの山で大木を伐って倒すような音がしばしば響くのに、翌朝見に行っても倒れた木は一本もなく、年寄りたちは天狗のしわざだと噂した。ある時、山から「オーイ」と呼ぶ大声がし、皆が恐れて黙るなか、琴平山の麓に住む男だけが同じように呼び返した。すると風もない穏やかな日だというのに大岩が飛んできて、その男の家を押し潰したという。天狗が投げたとされるその岩は今も残っている。
原典より
この秩父地方には、天狗のお話が数多く伝わっておりますがその一つを紹介いたしましょう。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。