修験者が冠を置いた慈光寺の冠石
どんな伝承か
ときがわ町西平の慈光寺に伝わる七石の一つに冠石がある。富士山や秩父の山々で日夜苦行を積んで帰ってきた慈光寺の修験者たちは、毎年四月十二日、それぞれの寺に入る前に、そばの岩の上に冠を置いて儀式を行うことにしていた。冠石の名はこの習わしから起こったという(大野武男『郷土史調査と其実例』)。修験の行事と結びついた石の名の由来である。
原典より
富士山や秩父の連山で日夜苦行して帰って来た慈光の修験者たちが、毎年四月十二日各自の寺にはいる前に、そのそばの岩に冠をおいて儀式をすることにしていた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。