沼底から出たとも伝わる忍城の陣鐘
どんな伝承か
忍城の木戸門の東方に掛けられていた陣鐘については二つの説がある。一つは天正十八年の籠城のとき、池上村の普門寺から持ってきて陣鐘にしたというもので、普門寺は昔は施無畏寺と称した寺である。もう一つはこれを誤りとし、いつのころか外堀の沼を渡った折に水底から現れたのだという説である。鐘の銘には武蔵国崎西郡池上郷施無畏寺の梵鐘とあり、盗まれて破損したのを鋳直したこと、延慶二年十一月五日の日付、願主の藤原道敏の名が刻まれている。
原典より
木戸門の東方にかけた陣鐘については二つの説がある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。