住めば凶事と噂された旧安田邸
どんな伝承か
本所横網町の旧安田邸は、元禄の頃に本庄伯耆守が造った屋敷で、のちに松前侯や池田侯などの手を転々とし、明治の中頃に安田善次郎が買い取って住んだ。築山と泉水を備えた庭は江戸の名残をとどめる名園として知られたが、不思議とこの屋敷に長く住み続ける者はいなかった。昔からここに住むと凶事があると言い伝えられており、安田翁が朝日平吾に刺されて倒れたのも、その因縁ではないかと噂されたという。
原典より
昔より此家に住めば凶事ありと傳へられ、故安田翁が朝日平吾の兇刃に倒れたのも、何かの因縁であると噂された位であつた。—— 江戸傳説(佐藤隆三) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。