縁結びを聞き届ける平内様の石像
どんな伝承か
浅草寺の仁王門を入って右手に、九尺二間の平内堂(久米社)がある。堂いっぱいに胡座をかき、拳を固めて肘を張った石像が平内様で、その姿は仁王座禅を象ったものだという。もとは石見津和野の亀井家の家臣で、剛力かつ剣に長けた平内兵衛が、浪人ののち自ら仁王座禅の像を石工に刻ませたと浅草寺志は記す。女の難を幾度も救った人柄からか、石像となっても縁談や恋の仲立ちを引き受け、賽銭は年に二千円近くにのぼった。願いは紙に書いて堂へ納め、堂守から一通を受けて験の有無を判じる習わしだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。