観音の夢告から生まれた浅草海苔
どんな伝承か
浅草海苔は江戸名物の代表とされるが、産地は次第に南へ移り、今では品川・大森・羽田あたりが本場になった。府内備考の「浅草海苔由来記」は、その起こりを浅草寺の観音の霊験に結び付けている。天慶のころ、安房守公雅は宮戸川のほとりの浅草寺の観音を篤く信じて日々歩いて参り、その徳によって武蔵守に任ぜられ、堂塔を残らず再興した。天慶八年三月十八日の夜、霊像が夢に現れ、この沖に黒・赤・青の三つの海苔が生じている、食えば病を除き家が栄えると告げる。翌日船を出すと夢の通りに海苔があったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。