瘧を癒す辻斬りの神・甚内様
どんな伝承か
瘧の神様として知られる甚内様は、正しくは永護霊神という。震災で焼けたのち、土地の有志が浅草向柳原二丁目の元の場所に再建した。祀られているのは辻斬強盗で名を馳せた高坂甚内である。甚内は幼くして孤児となり宮本武蔵に拾われて剣を仕込まれたが、放蕩から辻斬を重ねて破門され、高尾山の飯縄権現堂で日本一の盗賊たらんことを祈ったという。東海道や江戸で掠奪を続けたものの、瘧に臥せっているところを捕らえられ、慶長十八年八月二日、鳥越明神際の刑場で磔になった。同じ病に悩む者を必ず癒すと叫んで果てたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。