結核にすがった天籟寺の胸の観音
どんな伝承か
北九州市戸畑区の天籟寺は、明治から昭和の初めにかけて結核に深く侵された土地であった。治らぬ病とされていただけに、人々は神仏にすがるほかなかった。病人を抱える家はもちろん、そうでない家も、京都郡勝山町下黒田の胸の観音を結核に効く仏として信じた。授かった札は病人の身につけさせたり、病室の壁に貼ったりした。いまも参る人が少なくない。小倉の北方でも、この観音への参詣は盛んだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。