底なし袋を供える小森江の子安観音
どんな伝承か
門司区小森江の羽山二丁目五に、聖観音菩薩、すなわち十一面子安観音をまつるお堂がある。以前は観音町、今の羽山一丁目五にあったが、戦時中の強制疎開で現在地へ移された。住居表示の変更で町名は無くなったが、堂のあった所から観音町の名が残されていた。この観音の起こりは、南北朝時代、足利尊氏の子直冬が戦勝祈願のため、僧恵心の作という延暦寺の持念仏を本尊として小森江に安置したことに由来するという。子宝が欲しい人は底のある袋を、欲しくない人は底の無い袋をあげると効果てきめんだといって、参る人が多かった。毎月十七日に祭りをしている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。