白縫姫の眼を開いた瞽女観音
どんな伝承か
八幡西区畑の音滝に釈王寺という寺があり、瞽女観音の名で知られる。祭日には眼病平癒に効くとして今も参拝者が多い。寺の縁起によれば、保元の乱ののち源為朝は大宰府へ落ち延び、追討の命を受けた阿曽三郎平忠国と戦っていた。乱に敗れた崇徳院の妃は為朝を頼って筑前へ下り、白縫姫らとこの地に隠れたが、保元二年(一一五七)三月十七日に病で世を去った。女官たちは墓を築き、琴を弾いて霊を慰めた。長旅で盲目になっていた白縫姫の夢に観音が現れ、自分をこの地にまつれば眼は治ると告げた。そのとおりにすると両眼はたちまち開き、村人は廟を建てて音滝山釈王寺と名づけ、瞽女観音と呼んで四月と十月の十七、十八日を祭日としたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。