漁船を仕立てる田野浦の霊場参り
どんな伝承か
田野浦では、伊勢や本願寺への参詣のほかに、各地の寺社や霊場を巡ると福が授かるといわれた。近場では篠栗、伊川の平山観音、大里の滝の観音、白野江の山中にある大池の観音、山口県豊田町の狗留孫観音、遠くは京都粟生の光明寺や出雲大社、讃岐の金刀比羅宮まで足を延ばした。参るときは四、五人の連れを組むのが常で、出雲へは正月に向かうことが多かった。夏になると大積の天疫神社や下関の住吉神社へ漁船を仕立てて大勢で渡り、無病息災と航海の安全、豊漁を祈った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。