夜に麦畑を荒らす馬の絵馬
どんな伝承か
豊後日出藩の三代藩主木下俊長は絵の名手で、木下家の御廟である横津神社に、自ら描いた馬の絵馬を納めた。それからというもの、夜になると近くの麦畑が馬に荒らされるようになった。村人が張り込むと、真夜中にどこからか一頭の馬が現れて麦の穂を食べ、覚雲寺の中にある横津神社の境内へ戻って社前でふっと消えた。近寄ると、奉納された絵馬が闇の中で白く光っていた。殿様の奉納物とあって百姓たちは郡奉行に訴え、話を聞いた俊長が詫びて絵馬に手綱を描き加えると、麦畑を荒らす馬は二度と出なくなったという。
原典より
人々が近づいてみると、神殿に奉納された俊長公の絵馬が、夜目にも白く輝いていました。—— 大分県の民話 第3集(土屋北彦・大分県の民話シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第3集(土屋北彦・大分県の民話シリーズ)
『大分県の民話 第3集』は、土屋北彦が大分県で採集した民話と古記録の奇談を編んだ民話集である。花咲か爺や猿の恩がえし、山うばなどの昔話を方言の語りのまま載せ、狐・河童・大蛇・山童・犬神の話、大友氏泰に殺された吉弘一頓の怨霊、古代の神々が越の国や三韓へ兵を出す話などを収める。あとがきに第三集は本格昔話を中心に古記録の奇談を集めたとあり、末尾に杵築市で記したあとがきを置く。